仙台に会いにいく。

はじめて歩く仙台の街並みに浮き足立ちながら、憧れの喫茶店「ベニー」へ向かった。そこでずっと会いたかったあの子と待ち合わせをしていたのだ。

仙台で生まれ育った彼女は、ポップなクリームソーダを頬張りながらお店のおじちゃんとおばちゃんと楽しそうにお喋りしている。聞けば大学の休み時間によくこうやってクリームソーダを飲みに来ていたみたい。「ベニー」があるキャンパスライフを想像したら羨ましくてたまらなくなった。
 
話していたらお互い本好きなことがわかり、「火星の庭」と「ボタン」へ。黙々と本と対峙する時間はあっという間ですっかり日が落ちてしまった。購入した本を二人してほくほくと抱え、最後は「アップル」で餃子とビールを片手にさらに話し込んだ。彼女と知り合うきっかけがここだったことをお店のおじちゃんに伝えると、なんだか照れくさそうに笑っていた。それ以降「アップル」は、たとえ一人でもかならず足を運んでいる大好きなお店だ。
 
もし仙台に生まれていたら。そんなことを東京行きの夜行バスで考えてみる。きっと彼女のように仙台がなんだかんだ好きで、ここから離れない気がする。毎日が目まぐるしく繰り返される東京での暮らしは嫌いではない。でもその日々の中でふと、ふらっと「ベニー」や「アップル」で過ごす時間に、これからも私は会いにいく。

WRITTEN BY
矢口 莉子
1995年年末生まれ。浅草で生まれ育つ。少しだけ書店員と少し前からデザインの学生に。ZINEの制作や企画なども行う。 Instagram @___8999___
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