元グラフィックデザイナーのつくる和菓子
包み紙を開く時の高揚感は、子どもの頃も、大人になってからも変わらない。ドーナッツの紙箱や、鼻を近づけただけで香ばしい揚げ物の包みといった、空ける前から中身が想像できるのも悪くない。しかし、中身のヒントが一切ない秘密めいた包みにはやはりグッとくる。
仙台市地下鉄東西線 西公園駅を降りて徒歩5分、瑞鳳殿への道の途中に、静かにお店を構える和菓子屋「森の香本舗」の包みは、和菓子を匂わせていない。
正方形の紙箱には、やわらかな質感の白い包装紙。濃いグレーで印刷された曲線と点を組み合わせたロゴマークが、モダンな印象を加えている。小さい箱には薄い桃色の、大きい箱には若草色の紙紐がきゅっと結ばれ、その上品な出で立ちに、胸が高鳴る。
色味、形、バランス、質感といったイメージを形にするのは、分野は違えど、グラフィックのデザインも、和菓子も共通する部分が多い。店主はそのセンスを、包みと和菓子の両面で見事に実現させている。勿論、お菓子の味も申し分なく静かで上品だ。
shop information
「森の香本舗」(宮城県仙台市青葉区大手町5-5)
電話:022-223-1314
営業時間:9:30~18:30
定休日:月曜、第2・4日曜