時を越えたネジと路面電車と

スタンプカードがいっぱいになったと思ったらそのお店は無くなった。
2011年震災前後だったろうか。
vintage clothやFire-King(アメリカ製のガラス食器)などの雑貨を扱う『fromUSA』だ。
本店が愛子にあるのは知っていたが、どこに行ったのか気になって仕方なかった。

Fire-Kingを取り扱うお店や、古着屋さんは一時期の仙台からだいぶ減った。
ネットでなんでも買える時代。
量販店を取り巻く環境は変わった。
寂しいなと思いながら、アンパンマンミュージアムの向かい側にある、なんだか懐かしさを感じる店構えにつられ、お店に入る。
『Candy Roll 』、USAantique雑貨の専門店だ。

入ってすぐに、1930年代のアメリカで、鉄道会社の線路組立用に使用されていたネジに目が向く。
錆びていたり、少し削れていたりするところもなんだか愛しい。
ネジは1930年代のナンバリングしかない。
アメリカから、時と海を越えてここ東北の仙台に来たこのネジがとても気になった。
1930年代といえば、アメリカは映画『風と共に去りぬ』が大ヒットしてる時代。
その頃の仙台は、『仙台市電』、いわゆる路面電車が走っていた時代だ。

なんとなく入ったけど、話を聞いたら、私が好きだった『fromUSA』の経営者さんの息子さんのお店だった。よく聞いてみると、『FromUSA』も愛子の他、本町にも復活しているそうだ。

そうだったのか!!なんだか嬉しい。無くなったわけじゃなかったんだ。
Fire-Kingの品揃えには自信がある。
今は、レプリカも増えたので、ビンテージ熱が再燃してきている。
ネットではビンテージの温かさは伝わらない、路面店を続けるのはお客様に一期一会のものと出会って欲しいからだと店主は語る。

アメリカのネジと1930年代に走っていた仙台市電。
なんだかリンクしてしまう。
奇しくも、古き良きアメリカの黄金期を支え、映画や音楽の題材にもなった『route66』が設置され役目を終えたのは1927年から1984年まで。
仙台市電が活躍していたのは1926年から1976年まで。
仙台市電の方がほんの少し幕引きが早いが、
一方は1930年代のアメリカの多くの若者の夢をつないでいたroute66、
一方は仙台の高度経済成長期まで、市民の足であっただろう、仙台市電。
そんな事を考え胸が高鳴る。ネジは時と海を越えて、仙台のお店に並んでる。

『仙台市電』は、仙台での役目を終えたあと、海を越えてシドニーで、そしてあの有名な長崎でも路面電車として走っていた。
そして現在、国道48号線沿いの秋保温泉入り口あたりに一部の車両が保存されている。

歴史って終わるわけじゃない。
どこかで必要とされて生きていけるんだと、思った。
そう思ったら嬉しくなった。
1930年代のNo.と、時を越えてきた事に思いを馳せながら、自分だけの一本のネジを選んだ。

WRITTEN BY
りりっくれおなるど
栗原市産まれの仙台市民。写真やファッション、音楽、映画が大好き。靴コレクションは100足突破。栄養士として、学んだ知識と鍛えられた舌で仙台の美味しい物を探している。営業で培った人脈で、食べ物や音楽、アート、洋服などで、仙台を盛り上げる事が目標。いまは立ち飲み屋で吉田類と飲む事が夢です。
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