絵本と過ごす秘密の隠れ家「MARY COLIN」

宮城野区小田原のカフェのある絵本屋『MARY COLIN』を初めて訪れたのは、友人に誘われて何気なくコーヒーを飲みに行ったからだった。

12畳ほどの、広いとは言えない店内だが、品の良いアンティーク調のヴィンテージ家具と、木目の美しい温もりある家具が程よく混在している。

聞けば、置いてある本は古本と新書の絵本。古本に関しては絶版になった物もあり今では貴重な物もある。

うさぎが真っ白な布から、ワンピースを作った途端、周りの景色で模様が変わるというストーリー『わたしのワンピース』は私が小さい頃から好きだった絵本だ。『ちびくろ・さんぼ』、など子供が好きな定番ものから、歌手のボブディラン作の絵本もある。つまり大人も楽しめる絵本が置いてあるのだ。

私が好きなのは奥の窓際の張替えした古いソファ。くすんだ水色に、赤いドット柄が美しいのだ。照明も、ランプが所々吊るされているだけ。

窓から差し込む自然光が美しい。今は、デパートでも、スーパーでも、夜でも昼でも、光が多すぎるから、このくらいの電球の灯りは心地いいのだ。

スナックの床を剥がしただけというコンクリート剥き出しの床も、無機質なのになぜか温かいのは、周りの家具や絵本と程よく調和していて、安心できる空間を作り出している。

なぜ私が入ったばかりでこんなに安心できるのか考えてみた。そういえば小さい頃から、私の田舎には蔵があって、祖母に鍵を開けてもらっては、蔵の屋根裏に座り込み、古書を読んだり祖母や先祖代々の古着物をあさってみたりして一日中過ごすのが好きだった。

程よい天井の低さと古き良き家具たち、なんだか、小さい頃過ごした屋根裏を思い出すのだ。人は、広いところに置かれるより、程よく狭い場所の方が安心できる。

私が未だに、小さなウォークインクローゼットで過ごすのが落ち着くのとおんなじだ。そうだ、屋根裏にいるようなんだ!それから、居心地の良さに惹かれて何度か通うようになった。

コーヒーも美味しいけど、居心地の良さに癒されながら、絵本を選ぶ、その作業も楽しくてたまらない。

『手紙をください』という絵本を買った。愛する人に手紙を書いてくださいという思いを綴った絵本。『しごとをとりかえただんなさん』という絵本も買った。主婦の妻をうらやましく思っただんなさんが仕事をとりかえ、妻の大変さをわかる絵本。

懐かしい絵本も楽しめるし、大人向けの絵本で「ハハハ」と思わず笑ったり、ホロリと涙したり。なんだか、その行程が好きなのだ。

MARY COLINは絵本屋であり、カフェである。だけどそういった既存の言葉には当てはめられないお店なんだと思う。来てくれた人がきっと自分なりの好きなところを探せる場所だから。窓際の木の椅子に座りリラックスする人もいれば、本棚を眺めながらコーヒーを飲む人もいるだろう。

私にとっては屋根裏のような空間。とっておきのリラックスをもたらしてくれる。ここに来て、コーヒーを飲み、本棚を眺め、絵本の相棒を連れて帰ることがなんだか楽しくなる。そしてまた行きたくなる。そんな事を繰り返すのがこの頃好きだ。

WRITTEN BY
りりっくれおなるど
栗原市産まれの仙台市民。写真やファッション、音楽、映画が大好き。靴コレクションは100足突破。栄養士として、学んだ知識と鍛えられた舌で仙台の美味しい物を探している。営業で培った人脈で、食べ物や音楽、アート、洋服などで、仙台を盛り上げる事が目標。いまは立ち飲み屋で吉田類と飲む事が夢です。
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